3.理想を捨てた「割り切り」戦略のススメ
3-1. 中小企業のエンゲージメント方略としての「割り切り」戦略
(1)理想よりも自社に合った現実的なエンゲージメント方略を見出す
2-1で示したように、「全従業員のエンゲージメントを高める」というのが中小企業のエンゲージメント方略の理想と映るかもしれません。
しかし、2-2で示したように、「成長志向」人材が大半を占める企業以外は、その理想の追求は非現実なものでしょう。教科書通りの「さあ、みんなでエンゲージメントを高めよう!」というお題目(理想)は、現場に「やらされ感」を生むだけです。
そこで中小企業のエンゲージメント方略として、非現実的な理想を捨てた「割り切り」戦略を検討したいと思います。ここでいう「割り切り」戦略とは、「どこかに注力する分、どこかを諦める」という現実的なエンゲージメント方略(※)をさします。
※エンゲージメント方略
エンゲージメント向上を目指すものだけではなく、エンゲージメント向上にこだわらないものも含みます。
(2)「どこかに注力する分、どこかを諦める」とは何か
「どこかに注力する分、どこかを諦める」とは、「組織として優先して実現させること(注力する)、その代償として未実現でもやむなしとすること(諦める)」という自社の方針・価値観(=目指すべき組織の姿)を明らかし、それを社内で徹底することです。そういった方針・価値観を明らかにすることで、自ずと「何のための、誰のためのエンゲージメント向上なのか」ということも明確になります。
このように、「割り切り」戦略とは、自社が目指すべき組織の姿(方針・価値観)を明らかにし、そこを起点としたエンゲージメント方略を打ち出すものです。また、方針・価値観によっては、エンゲージメント向上が前面に出てこないケースも考えられます。