4-2. 物語化のススメ
4-1(1)で最終アウトプットのための素材として、「概念化」「教訓化」「物語化」という3タイプの形式知を紹介しましたが、筆者が特に勧めたいのが「物語化」です。
ここで誤解してほしくないのは、この場合の「物語」の中心にあるのは「会社で起きた出来事」ではなく、「その当事者たち」である点です。
(1)NHK『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』に感動する理由
当事者たちの物語が求められる理由を、NHKのテレビ番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』の例で説明します。
『プロジェクトX』は人々の記憶に残る社会的な出来事を題材に、それに関わった無名の人々の知られざる活躍を描いたドキュメンタリーです。視聴者がこの番組に感動するのは、「有名な出来事」の物語ではなく、そこに関わった「無名な人々」の物語となっているためです。
社会的な出来事の裏側で、無名な人々(=普通の人々)が困難・対立・葛藤を乗り越えながら、大きな仕事を成し遂げる姿に、視聴者は感動し、勇気づけられます。さらに、その姿を自分に投影し、「自分も頑張ろう」とポジティブな気持ちになることができるのです。
(2)自社の先輩たちの物語だからこそ、現役社員が自己投影しやすくなる
『プロジェクトX』における「無名の人々」の物語に相当するのが、自社のターニングポイントとなった出来事における「当事者たち」の物語です。
出来事の当事者(会社の先輩)が主人公なので、現役社員たちは物語を身近に感じると同時に、主人公目線で物語の内容に没入することができます。その結果、「もし自分が当事者ならばどうするだろうか」「同じような状況が自分にも起こるかもしれない」といった自己投影をしやすくなり、その物語に反映された「自社らしさ」を自分事として認識しやすくなります。